ここが問題 商都大阪市の産業経済対策
日本共産党市議 矢達 幸さんに聞く(上) 
 商都・大阪は、深刻な不況にあえいでいますが、日本共産党の矢達幸大阪市議に、大阪市の産業経済対策、中小企業対策の現状と問題点について聞きました。

          1%もない中小企業支援
          2兆円近くの総予算なのに


産業経済・中小企業対策は−

−帝国データバンクの調査では、全国10月の倒産件数は17年5ヶ月ぶりの1,900件超え、戦後3番目、バブル崩壊後最悪を記録しました。失業率も全国平均の5.3%を大きく上回る6.6%(大阪市を含む近畿)です。大阪市の産業経済対策、中小企業対策の現状はどうなっていますか。

 矢達  表が、この間の大阪市経済局予算(決算額)の推移(単位億円)です。大阪市の経済力は市内総生産がインドネシア(1,901億ドル)やスウェーデン一国(1,966億ドル)を軽くしのぐ2,228億ドルです。予算規模は、一般会計で2兆円近くです。しかし、産業経済対策、中小企業対策は本当にお粗末です。
2000年度の産業経済費は、1,452億円と、歳出総額1兆8,699億円の7.7%です。これは見せかけで、そのうち950億円、65%は融資基金や信用保証協会貸付金など年度当初に支出して年度末には一般会計に返ってくるものです。
 信用保証協会代位弁済補助金171億円も、信用保証協会が保証を付けた中小企業融資の返済が滞った場合にまず大阪市が銀行に弁済した額です。その後不良債権となった額の7、8割が保険が保険から支払われ、2000年度も107億円が保険等から入ってきています。
 実際に大阪市の一般会計から産業経済費として支出した額は計算してみると395億円です。そこから人件費や特別会計繰り出し金などが100億円、産業創造館などの建設事業費60億円、信用保証協会への出そん金43億円などを差し引くと、実際に中小企業への経営支援などに使っているのは、2000年度で127億円です。
 歳出総額のわずか0.68%です。99年度は129億円、98年度132億円、97年度120億円、96年度141億円となっています。

127億円から48億円ATCへ支出

−破綻したATC(アジア太平洋トレードセンター)への支出も産業経済費のなかに入っているですか。

 矢達 2000年度の127億円のうち48億円がこのATCへの支出です。大阪市の産業経済対策の第2の問題は、もともと少ない予算のうちの大部分をこの破たんしたATCという、実際は一テナントビルへの赤字の穴埋めなどで使われていることです。
 この額は、実際に商工経済対策のための使える予算、127億円のうち38%、4割近くを占めています。産業創造館の建設費を除く新産業の創出・創業支援は24億円、総合的な経営支援には7億円、商店街・小売市場振興に18億円、研究開発機能の強化に3億3,000万円と市内23万事業所への財政支出は合わせて56億円にすぎません。
 日本共産党の瀬戸一正議員の質問で明らかになったように、大阪市は民間テナントの1.9倍の家賃を払って入居し、その上、赤字の穴埋めのために、一テナントビルにすぎないATCに全事業所に対する予算に匹敵する金額を支出しています。とうてい市民の納得は得られません。


大阪市経済局予算(決算額)の推移
                      単位:億円
年度 1996 1997 1998 1999 2000
基金への取り出し等 1,082 1,069 987 950 950
信用保証協会代位弁済 70 73 131 166 171
信用保証協会出えん金 1 2 38 54 43
建設事業費 133 38 108 55 60
人件費・特別会計繰り出し金等 96 95 92 94 100
アジア太平洋トレードセンター 0 42 47 46 48
ベンチャー・創業支援 21 2 15 8 24
一般中小企業対策 32 38 36 37 57
決算総額 1,525 1,399 1,490 1,451 1,452



















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