辰巳正夫議員の予算組み替え動議
 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2002年度一般会計予算等の組み替え動議を提出いたします。組み替え動議の内容は、以下の3点であります。

 第1は、市民の雇用、中小企業への支援、福祉と教育の拡充など、切実な市民要求にこたえる施策を抜本的に強化することであります。
 
第2は、巨大開発やその破綻穴埋めの予算を大幅に削減し、市民生活密着型の公共事業を拡充することであります。
 
第3は、一般施策の名で継続する不公正・乱脈な同和予算は抜本的に削減し、同和行政は2001年度をもって終結することであります。
 以下、動議の提案理由を申し上げます。

住民の福祉増進につとめる地方自治体本来の役割を発揮する予算に

 第1に、大阪市は政令市の中で失業率が最悪であるなど、小泉「構造改革」のもとで、市民生活がかってないほど厳しい状況にさらされており、大阪市が、住民の福祉の増進につとめるという地方自治体本来の役割を発揮することがこれまで以上に強く求められています。
 まず、雇用対策については、身勝手なリストラをやめるよう在阪企業に申し入れるとともに、市長部局での2000人職員削減計画は中止し、福祉・教育・消防などの分野で本格的な雇用拡充をはかるべきです。中小企業支援策については、官公需発注比率を60%以上に引き上げるとともに、中小企業予算を抜本的に拡充することが必要であります。

 次に、医療・介護・福祉にかかわる問題です。
 国保料金は現状でも高すぎて払えず、今年度途中の収納率は63.6%という異常な低さになっています。市民の負担能力をこえる国保料の値上げは到底認められません。3年連続の3%値上げは中止するべきです。介護保険については、保険料の減免拡充とともに、利用料減免制度の新設に踏み出すべきであります。
 待機児数が3年連続日本一となっている保育所対策については、民間まかせで保育の質を低下させる安あがりの待機児解消策ではなく、公立・民間あわせて保育所建設を推進すべきです。乳幼児医療費の助成については所得制限をなくすこと、障害者小規模作業所への助成増額など障害者支援の拡充も市民の強い願いであり、これにこたえるべきであります。
 さらに、教育については、少人数学級の実現が、学級崩壊や不登校など深刻な問題を打開するためにも、学力問題の不安に応えるためにもかぎになっており、本市独自にも30人学級の実施に踏み出すべきです。小学校の米飯給食を週3回にすること、中学校給食をこれまでの同和校に限定せず、全中学校に広げることも重要な課題であります。

巨大開発や3セクへの公金投入をやめ、公共事業は市民生活密着へ転換を

 第2に、集客施設がことごとく破綻しているのに、本市が「国際集客都市」づくりになお固執するとともに、小泉内閣の「都市再生プラン」に便乗し、JR大阪駅北地区の開発など新たな巨大開発にも乗り出そうとしている問題であります。
 2008年オリンピック招致が失敗し、その必要がなくなったにもかかわらず、夢洲の土地造成等に71億5900万円、夢洲トンネルに35億6000万円、北港テクノポート線に59億8800万円を計上しています。
 また、廃棄物処分場については夢洲の延命が可能であるのに、新人工島整備に205億1400万円、「見直し、中止」が世論の多数になっている関西新空港2期事業等に44億4700万円、新たな高速道路はもはや不要であるのに、淀川左岸線の整備に19億2900万円、大阪駅北地区整備に5400万円を計上しています。
 大阪市の公金投入が露骨な銀行支援であることが明らかになっているATCやWTCへの支援をはじめ、MDC、シティドーム、クリスタ長堀のいわゆる5Kの赤字穴埋めに140億円を計上しています。
 その一方、特別養護老人ホーム建設や市営住宅建て替え・修繕、小中学校の校舎整備、治水・浸水対策など、身近な公共事業費は大きく削減しています。巨大開発や3セクへの公金投入をやめ、公共事業は市民生活に密着したものに転換するべきであります。

一般施策の名で継続する同和事業費は抜本的に削減を

第3に、同和行政の終結の問題です。
今議会を通じ、大阪市は同和行政を終結する意思がまったくないことが明白になりました。同和向け住宅については「当分の間、地区周辺に範囲を限定して入居者を公募する」と一般募集に踏みきらず、芦原病院については「2005年までに新たな貸し付けをなくしたい」と助成を継続するとともに、同和事業促進協議会は人権協会に衣替えし、「解同」の利権温存をはかろうとしています。
 さらに、「子育て支援事業」「男女平等教育アドバイザー養成事業」「高齢者等の相談事業」など、17項目もの新規事業費を計上しています。
 また、13カ所ある人権文化センター(旧・解放会館)の運営費が32億8500万円なのに対し、24行政区の区民センターの運営費が22億6000万円など、特別対策が公然と継続されているのであります。
 芦原病院への運営助成10億4700万円、同和浴場の改修13億9000万円をはじめ、一般施策の名で継続する事業費は抜本的に削減するべきであります。
 以上提案理由を申し上げ、予算組み替え動議と致します。