私は日本共産党大阪市会議員団を代表いたしまして、ただ今上程されました議員提出議案第4号「大阪市中小企業等振興基本条例」について、提案説明をいたします。

 まず、本条例の提案理由についてであります。
 いま日本経済はかって経験したことのない不況とリストラの嵐のもとで、所得、消費、生産が連鎖的に落ち込み物価下落がすすむ、いわゆる「デフレスパイラル」におちこんでいます。
政府の1月、月例報告でも、家計消費の落ち込みと民間設備投資の中小企業での大幅な減少が指摘されています。 このような状況のもと、大阪においても市民の暮らし、経済を土台から支えてきた中小企業の経営基盤が大きく破壊されています。
 大阪市の企業の倒産状況は、2001年に負債1000万円以上のものが1397件、負債総額は4兆2828億円に達し、件数、負債額とも史上最悪を記録しています。大阪の完全失業率も7.2%と全国最悪の状況であります。

倒産、廃業に追い込まれるなど一層深刻な事態

 中小企業のおかれている状況は深刻です。大企業による、生産拠点の海外移転による中小企業の切り捨てや、中国製品などの価格破壊による超安価な製品流入に押され、注文が激減し倒産、廃業に追い込まれるなど一層深刻な事態となっています。
小売商の分野でも、例えば大正区では、消費不況のもと、新たな超大型店「千島ガーデンモール」の出現によって既存の大型店との間で、生き残りをかけた激しい競争がつづき、24時間営業の大型店出現や店舗面積の拡張、目玉商品による宣伝合戦が繰り広げられ、そのあおりで商店街の崩壊状況が一気に加速しているのであります。
 地域で互いに助けあいながら発展してきた中小企業が連鎖的に苦境に立たされ、倒産、廃業が続出し、長年にわたって形成されてきた地域経済が、深刻な困難に直面しています。商店街や地場産業に活気が失われることは、単に経済的な影響ばかりでなく、子供や、お年寄りをはじめ、私たち市民が安心して生活できる拠点が失われていくという重大な意味をもっています。言いかえれば「大阪の街」の崩壊そのものといわなければなりません。
 地域の雇用や経済を担ってきた中小企業の存在意義、社会的役割が改めて見直されています。
 こうした中で、消費を高める消費税減税や、大企業の身勝手な海外進出、無謀なリストラを規制することなど、国の対策とともに、大阪市自身としても、中小企業の営業を守るために全力を尽くすことが強く求められているのではないでしょうか。
 ところが大阪市は、在阪大企業にたいして、社会的ルールを守らせるための必要な申し入れすらやらず、本市の中小企業向け官公需発注も47.7 %と全国最低クラスであります。
 こうした方向を転換し、大阪経済の主役にふさわしい中小企業への対策を強めることを市政の柱にするべきであります。
 我が党の繰り返しての要求により、大阪市も、お隣の東大阪市の長尾民主市政や大田区をお手本として、業者の実態調査とあわせて「物づくり再生プラン」の事業に踏み出しますが、これらの事業を、単発的な事業に終わらせるのでなく、系統的に全業種に広げ、いきいきとした大阪市の活気あふれる人と緑と産業の調和のとれた街づくりを進めるなど、総合的な施策をすすめるために、本条例の制定がどうしても必要であります。

大阪市の行政をフルに活用することが大切

 次に条例案の具体的内容について説明いたします。
 条例は、第1条「目的」から第10条「委任」までで成り立っていますが、第4条の中に基本的な施策の柱を示しています。大企業への民主的な規制や指導は、第3、第4、第5項に、中小企業への官公需の拡大は第6項に、中小企業・業者とその団体への研究・開発など多様な支援策については第7項に、大きな悩みとなっている後継者問題は第8項に、切実な要求になっている融資に関しては第11項にそれぞれ集約しています。
 中小企業を支援するために、大阪市の行政をフルに活用することが大切です。そのための市長の責務を第5条に明記しました。そしてこの条例の円滑な実施にかかわる事項については、第9条で審議会を設けることとしました。
 議員各位におかれては、苦境に立つ大阪市の中小企業への支援と街づくりのために、賛同されますよう強く訴えまして、提案説明といたします。 
矢達幸議員の中小企業振興条例提案