オリンピック招致が失敗し、「国際集客都市」づくりの破たんがすでに明らかになってきているのに、依然として夢洲などの巨大開発に血道をあげる大阪市の異様な姿勢が、7日の大阪市議会本会議であらためて浮き彫りになりました。日本共産党の
瀬戸一正議員が代表質問で、国追随の巨大開発優先を具体的に示し、「市民の暮らし優先の市政運営への転換を」と、来年度予算案の根本的組み書えを要求したのにたいし、磯村隆文市長は「国際集客都市」づくりをあくまで推進すると答弁、市民の切実な要求に背を向けました。
無謀な夢洲開発
夢洲は大阪市がオリンピックの選手村に予定し、終了後、人口4万5千人の住宅地計画を立てていましたが、オリンピック招致の失敗でその前提が崩れたにもかかわらず、住宅地計画をそのままにして、来年度予算で北港テクノポート線などに238億円を計上。完成・整備には5千億円から6千億円も必要だといわれています。
しかし、マンション価格が下落している都心部は別として、遠隔地の夢洲での住宅需要はとても見込めず、業務
商業地にしたとしても、コスモスクエア2期地区や舞洲なども合わせ、98ヘクタールもの膨大な土地が売れ残り、しかも市内の事務所オフィスの空き率も10%近くになっている現状では、どちらも無謀な計画です。
さらに問題なのは、この無人島・夢洲に、通路トンネルと地下鉄北港テクノポート線建設をすすめていることです。
港湾局は今秋、夢洲のC11バース(15b)が供用開始され、夢洲と南港の港湾機能をつなぐために、道路トンネルの整備を急ぐ必要があり、鉄道は道路と構造が一体だと説明しています。
しかし、夢洲のCl0、Cllパースを使うのは、台湾の船会社1社のみ。しかも、3つ目のバースは利用する船会社の見通しがたたず、2001年度に計上されていた建設予算は来年度には見送られています。まさに外国企業1社のために、道路・鉄道あわせ990億円もの巨費を投じることになります。
瀬戸議員は、「夢洲開発も道路・鉄道もむだづかい以外のなにものでもない。これらの開発、建設はきっぱ均中止すべきだ」と追及しましたが、磯村市長はあくまで促進するとつっぱねました。
阿倍野の再開発
市がすすめる阿倍野区の再開発事業では膨大な借金が生まれており、来年度80億円、03年度からは毎年90億円、24年間で総額2240億円もの税金投入が必要になっています。
市はこの実態を議会にも報告せず、明らかになると、責任逃れに終始。さらに、旧A2地区に5.2ヘクタールもの巨大商業ビル建設を計画しています。
これは建設を「特定建築者制度」を使ってアメリカのデベロッパー企業に任せ、建設後はそのデベロッパー企業に床面積の大半を一括貸与し、その賃料で60年以上かけて、ビル建設費だけでなく、それまでの赤字分をとりもどすという、バブル的発想の計画です。
この開発費として、来年度予算案に225億3千万円を計上していますが、瀬戸議員は「今後の阿倍野再開発の運命を、いわぱ民間大企業にゆだねてしまう大変危険なものであり、地方自治体がとるべき手法でない」「周辺商店街や市南部商店街をさらに疲弊させてしまう計画だ」として、旧A2地区開発の根本的見直しを追りました。
5K赤字穴埋め
市は近く利用が可能になるJR梅田貨物駅北ヤ―ド6ヘクタールの開発を、国際コンペで策定するための開発調査費5400万円を来年度予算に計上しています。
この北ヤードについては昨年2月、関西経済同友会が、この土地を公的機関が一括取得するよう提言。3月には関西経済連合会の音頭で市も加わった懇談会がつくられようとしていますが、瀬戸議員は「この大規模開発に大阪市が金や人を出し、土地まで買わされる危険性がある」と指摘、
「地方自冶体が開発会社のような仕事をすべきでない」と主張しました。
破たんした5つの第3セクター会社の赤字穴埋めも相変わらずで、来年度予算案でも公金貸付などで125億円が組まれ、00年以降の貸付金を400億円も見込んでいます。
しかし、これが露骨な銀行支援であることもはっきりしています。例えば、WTCでは97年度から00年まで120億円の貸付金は、同時期の104億円の借金返済に、ATCでもこの2年間の66億円の貸付金が57億円の借金返済にそれぞれ回されているのです。
瀬戸議員は「5K赤字3セク企業への公金貸付はきっばりとやめるべきだ」と主張しました。
市民の願いに背
巨大開発には湯水のように税金を投入しながら、暮らしに直結する身近な公共事業は、前年度から大きく削られているのが予算案の特徴です。
01年から削られた額は、待機者が2312人にもなっている特別養護老人ホームと、老人保健施設の建設費合わせて36億円、市営住宅建て替え修繕受44億円、小中学校校舎整備愛25億円、待機児全国ワーストワンの保育所整備費7億円、治水・浸水対策費44億円などです。
大阪市の経済の屋台骨ともいうべき中小企業対策も、お粗末そのものです。
90年からの10年間で工業事業所は約1万社が減り、小売商店も91年から99年の間に7348店舗が減少するなど深刻な状況にもかかわらず、経済局の事業予算案は、融資事業を除けば119億7800万円。この中にはATCビル支援の42億3100万円が含まれており、それを差し引くと打77億4700万円と、一般歳出のわずか0.4%に過ぎません。
瀬戸議員はこれらの問題点のほか、国保料の3年連続値上げの中止、学童保育補助金の増額や空き教室の使用、乳幼児医療費助成の所得制限の撤廃、介護保険料減免制度の拡充と利用料の減免、30人学級の実現などを求めました。
「同和」は温存
磯村市長は、3月末で特別措置としての同和対策事業は終了させるとしていますが、予算案には
一民間病院にすぎない芦原病院への連営助成などで10億4700万円、同.和浴場の改修費として15億円などが盛り込まれています。
さらに、教員の「同 和」加配でも、「教育困難校」加配などとして温存、会館職員などの人的配置もほとんど変わっていません。名前を「一般対策」にしただけで、中身は「同和対策」そのままです。
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