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“大阪市解体の予算” 共産党は組み替え動議提案 小川陽太議員の組み替え動議提案説明 |
小川陽太市会議員 2013年3月29日 |
大阪市議会は29日、閉会本会議を開き、橋下徹市長による大阪市解体計画(「大阪都構想」)を具体化する2013年度予算案を「維新の会」と公明、自民、民主系会派の賛成で可決しました。日本共産党は、暮らし優先・中小企業支援の組み替え動議を提案し、原案には反対を貫きました。 新年度予算には、橋下市長の「市政改革プラン」による従来の市民向け施策・事業約136億円の削誠や、病院・大学など各施設・事業の府市統合に向けた予算、市立幼稚園・保育所の廃止・民営化にかかわる予算などが盛り込まれています。 日本共産党は、小川陽太市議が組み替え動議の提案理由を説明。国保料引き下げや敬老パス維持、35人学級実現など暮らし・福祉・教育を優先した予算に変えるべきだと力説しました。 小川氏は、、橋下市長は一昨年の市長選で「都」構想が市民の承認を得たかのように主張しているが具体像は示されていなかったと指摘。十分な議論もなく市解体の実態だけが先行している予算案は民主主義を踏み外していると主張しました。 討論では、日本共産党の小原孝志市議が、橋下市長は財政が厳しいと市民施策を削りながら、淀川左岸線・大阪港関連の不要不急の事業には予算を計上していると批判。無駄遣いをやめ、今後も膨大に積み上がる公債償還基金(約4200億円)から年100億円程度の一時借り入れをすれば、やりくりは十分可能だと述べました。 (2013年3月30日付しんぶん赤旗) 小川陽太議員の提案説明(要旨)
私は、日本共産党 予算組み替えの内容は、主に次の4点であります。 第一は、市民のくらし・福祉・教育を優先した予算にすることであります。 具体的には、国民健康保険料の3%の引き上げや出産育児一時金の改悪をやめ、むしろ生活の実態にみあう国保料の引き下げを行うこと。敬老パスの有料化をやめ無料制度として維持すること。生活保護受給者を不当に扱うあらゆる取り組みを中止すること。上下水道料金福祉減免の廃止やナイスミドル検診の廃止、新婚家賃補助制度の新規受け付け停止などをやめ、これらの制度を継続すること。ネットワーク推進員の廃止やふれあい型食事サービス補助・老人憩いの家運営補助の削減などをやめ、地域福祉の支えあい活動への支援を強化すること。保育料の引き上げや保育士の配置基準の改悪などをやめ、どの子にも安全・安心の保育を保障すること。小・中学校の教師集団の連携・協力に障害をもちこみ、また学校間の過度な競争を持ち込むような仕組みの導入をやめるとともに、学校維持運営費の拡充、小・中学校の全学年での35人学級の実現をはかること。これらの方向へと予算の組み替えを求めるものであります。 第二には、「大阪都構想」「大阪市解体」への「地ならし」「先取り」となるような予算を削除することであります。 たとえば、地下鉄・市バス民営化に関わる予算、住吉市民病院の府立急性期・総合医療センターへの統合や市民病院の独立行政法人化・府立病院への統合に向けた予算、ごみ焼却工場の一部事務組合への移行にむけた予算や家庭ごみ収集の民営化に向けた予算、市立幼稚園・保育所の廃止や民営化に向けた予算、大学や調査研究機関・信用保証協会などの府市統合に向けた予算、さらには大都市局創設に関わる予算、これらを削除し修正することであります。また、クレオやいきいきエイジングセンター、南港野鳥園や舞洲野外活動施設など、市民利用施設の廃止をやめ、これらの維持・運営にかかわる予算を復活させることであります。 第三に、経済活性化対策や公共事業は、大規模開発・呼び込み型事業から地域密着・地域循環型事業へと大きく切りかえていく予算にすることであります。 淀川左岸線2期事業関連予算などを削除するとともに、カジノ構想を推進する統合型リゾート開発関連予算や国際コンテナ戦略港湾促進関連予算を削除すること。一方で、住宅リフォーム助成制度の創設、市営住宅・特養ホーム・認可保育所等の建設の拡大、分譲マンションの大規模改修への助成、住宅耐震化支援の拡充や公共施設の耐震化の促進、津波などへの防災対策の拡充、公園や街路樹の拡充や生活道路の改修促進、太陽光パネル設置補助制度の復活、地下鉄8号線延伸の着工などの予算を新たに組み込んでいくことであります。 第四に、大阪の歴史や伝統、文化・芸術・スポーツを大切にし、都市格を高めるとともに、自然や環境をしっかり守っていく予算にしていくことであります。 大阪フィルハーモニー交響楽団や文楽などへの補助金削減をやめ、むしろ支援を強めること。これまでの美術館や文化施設、図書館やスポーツ施設をしっかり守り発展させるとともに、近代美術館やコンサートホールなどの新たな建設に取り組むこと。だれもが芸術やスポーツを鑑賞し、あるいは参加できる支援策を講じること。 また、原発から自然エネルギーへの転換を促進し、温暖化対策やヒートアイランド対策・PM2.5対策などの強化を図るとともに、まともに市民の安全・安心にむけた十分な説明もないまま実行に移されている災害がれきの広域処理については、いったんこれを停止させ、市民の理解と納得が得られるプロセスをふまえるように改めることであります。 次に、これらの予算組み替え動議を提出した理由についてご説明申し上げます。 第一は、国による国民負担増加の方向は全く歯止めがかかっておらず、今後も、年金削減、雇用の不安定化と給与所得の低下、中小事業者の経営悪化、物価上昇対策の強化、消費税の増税と、市民の暮らしがいよいよ差し迫ったものになっており、本市としては、住民の福祉の増進をはかるという地方自治体の原点に立ち返ることが、強く求められているのであります。 市民の暮らしの困窮ぶりは、失業者と生活保護受給者の急増、中小企業や小売商店の相次ぐ廃業・倒産、国保料滞納世帯が4世帯に1世帯などという状況に端的に示されています。また、子どもの虐待や凶悪犯罪の増加の背景には、市民生活において、経済的にも精神的にもどんどんゆとりを失いつつあることが指摘されています。このような状況だからこそ、市民の暮らしや子育てを応援し、教育を充実させる施策・予算を削ってはならず、むしろ最優先して予算を組む必要があると考えるからであります。 第二に、市長が提唱している「大阪都構想」「大阪市解体構想」は、どこで決まったものでもなく、まだその議論の緒についたばかりであり、「都構想」を前提にした予算の具体化は認められないからであります。 市長は、一昨年11月の知事・市長選挙の結果で「都構想」が市民の承認を得たかのように主張されますが、選挙の結果は、「これまでの大阪市の間違ったやり方を変えてほしい」「大阪の景気を良くしてほしい」という市民の意思の反映ではあっても、それが「都構想」の承認だとはとても言えないのであります。「都構想」の具体的な姿が全く示されないで行われた選挙であり、世論調査でも「都構想の内容はわからない」という意見が圧倒的でありました。そんなやり方で選挙に勝ったということで「自分の主張がすべて民意であり、市民の白紙委任を受けた」かのごとくふるまうことは、民主主義に反するものであります。 「都構想」「大阪市解体」を前提に本市の施策を具体化するというのなら、まずその構想の具体的内容を市民に示し、議会でも十分審議を尽くしたうえで承認され、さらには住民投票によって決定されるという経過を経なければなりません。そのことを抜きにして、実態だけがどんどん先行していくという今回の予算案は、あまりにも乱暴であり、民主主義のルールを踏み外したものになっているのであります。 第三に、本市におけるこれまでの数々の大規模開発事業での失敗の経験や、大企業呼び込み型の経済活性化方策が全く景気上昇効果を上げていない実態に深く学び、大阪の地域経済活性化のカギを握る、市民の暮らしの安定化、購買力の向上と中小商工業の活性化に思い切った予算措置を取る必要があるからです。 阿倍野再開発の膨大な累積赤字、オーク200やオスカードリームなどの土地信託事業の失敗、咲洲・舞洲・夢洲の埋め立て事業やベイエリア開発の行き詰まり、WTCやATCなどの三セク事業の破たんとその破たん処理への莫大な税金の無駄遣いなど、枚挙にいとまがありません。今こそこれらの失敗を反省し、そこから深く学ぶ必要があります。ましてや、カジノを中心施設とする統合型リゾート開発などの構想は、不必要な高速道路建設や鉄道建設、さらには関空リニアなどの新たな公金の無駄使いを生みだすとともに、犯罪やギャンブル依存症・家庭崩壊を増やし、健全な市民生活を乱していくことにつながるものであります。大阪市においては、今こそ市民の暮らしの応援と中小企業の仕事づくりや経営支援に抜本的に力を注ぐことが必要であり、そのことが大阪市の経済・財政を改善させていく確かな保証となるのです。 第四に、大阪市民がより人間らしく生きていくとともに、未来を担う子供たちに何を伝え、何を残していくのか、今、改めて問われているからであります。 2年前の東日本大震災と福島第一原発事故は、まさにその重大なきっかけとなりました。故郷の大切さ、それぞれの地域でつくりあげられてきた歴史や文化の重み、自然と共生し、自然の脅威に備え、環境破壊を食い止めていく努力の必要性、これらを再認識し、文化的な都市づくりが求められていると考えます。 以上をもって、予算組み替え動議の内容と理由の説明といたします。 |