国保料問題 問われる大阪市

日本共産党大阪市会議員 石川莞爾議員に聞く<上>

3%引上げ計画でたが  国の補助削減中止こそ

(しんぶん赤旗 2001年2月18日)

   大阪市国民健康運営委員会が16日開かれ、磯村市長の諮問通り、来年度から国保料金を3%介護保険料を7%引き上げる計画を発表しました。同委員会に参加した日本共産党の石川かんじ議員に聞きました。

−どんな内容が審議されたのですか。

石川 市長から諮問されたことは、@所得割、世帯割、平等割の比率の変更Aいままで48万円、50万円、52万円の3段階になっていた最高限度額を50万円、52万円の2段階にすることの2点ですが、来年度の保険料の値上げ案が発表され、これらの問題とあわせて協議会の運営のあり方や、いま重大な問題となっている、悪名高い「赤枠」つきの「短期保険証」問題を追及し、是正を求めました。

昨年、介護保険料と合わせれば、21.4%もの大幅値上げとなり、市民の批判をかいましたが、来年度も値上げしようとしていますね。

 市民の生活直撃 

石川 そうです。大阪市は国保会計のなかに占める保険料の割合を12年度(2000年度)の37.6%から43%に引き上げようとしていますが、来年度も表1のとおり、国保料金が3%、介護保険料(国保加入の2号被保険者)が7%、合計すれば一人当たり4%、3,463円の値上げをねらっています。大阪府の老人一部負担金助成の削減に続いて、今年11日からの医療改悪は、市民の生活を直撃しています。
 うえに病院の調査では、あるお年より夫婦はこれまでは3,000円と少しですんでいたのに、1月の医療費が2人で11,000円にもなり、3倍近くかかるようになってしまったということですが、その上、国保料金も値上げされれば、市民の生活をいっそう圧迫し、国保料金値上げ⇒収納率低下と国庫支出金の減額⇒財政赤字⇒更なる値上げ、という悪循環を繰り返すだけです。

(表1)

12年度

13年度

値上幅

値上額

国保料金

81,295

83,726

1.03

2,431

介護保険料

14,500

15,532

1.07

1,032

合計

95,795

99,258

1.04

3,463

 

被保険者一人(単位円)

保険料負担はすでに「限界」といわれていますが…

 負担はもう限界 

石川 そのとおりです。表2から明らかなように、値上げのたびに、また、最近は不況の影響で保険料収納率も低下し、滞納を抱える世帯の数は、11年度で113,988世帯、全加入世帯の2割以上が滞納を抱えるという異常な事態です。世帯の収入が98万円の世帯で、4人家族なら保険料は軽減措置のあとでも43,332円、負担率(対所得)は13%を超えてしまいます。これでは、払いたくても払えない人が増えるのも当然です。

(表2)

決算における収入未済状況(世帯数)

一人当たり保険料(予算)

収納率

平成6年

80,214

72,930

91.75

平成7年

77,279

72,930

92.62

平成8年

79,056

75,145

92.14

平成9年

87,535

79,210

91.47

平成10年

100,456

79,210

90.66

平成11年

113,988

79,210

88.11

− こうした悪循環を断ち切るためにはどうしたらいいのでしょうか。

 国庫支出金戻せ 

石川 まずなによりも、国が減らした国庫支出金を元に戻すことがどうしても必要です。医療費ベースで45%だった国庫支出金が現在は38.5%です。これを元に戻せば、赤字を解消し、国保料金を大幅に値下げできることは確実です。
 また、徴収率によってペナルティーをかけるいまの国のやり方は国補助金削減⇒財政赤字⇒いっそうの値上げ⇒徴収率低下という悪循環を引き起こす、最悪のものです。やめさせるために、市長も議会も、市民と協力して国に対して声をあげることを求め、運営協議会としても再度声をあげるべきではないかと提起し、運営協議会の会長も、協議会の意見として取りまとめることを約束しました。
 さらに、特別調整交付金の額が他の大都市と比べて極端に少なくなっていることも、原因をきちんと解明し、国に是正を求めることが必要です。また、市からの繰り入れも、総額では、来年度
462億円と、24億円増額されますが、義務的なものを除いて、政策的に保険料を軽減するためのものは、被保険者一人当たり、札幌より5,000円以上少なく、名古屋市と同程度です。
 協議会でも、医師等の代表の委員からも「患者からも取れない、保険料もこれ以上とれないとなれば、繰り入れを増やすしかない」との発言もありました。これも会長の意見とりまとめのなかで、いっそうの増額を市に要請することが確認されました。オーキャットや
ATCWTCなど、一テナントビルとなっているような、大型ビルの赤字補填に税金を使うようなことをやめて、国保のような社会保障にこそ、市民の税金は使うべきです。

(つづく)