国保料問題 問われる大阪市

日本共産党大阪市会議員 石川莞爾議員に聞く<下>

短期保険証は人権侵害 

運営協議会 “資料なし審議”の無責任

(しんぶん赤旗 2001年2月20日)

− 所得割率の減少や、3段階の最高限度額の2段階への変更については、市民にどのような影響が考えられますか。  

石川 いまでも国保料金は逆進性になっているのに、「応能割」部分を減らし、「応益割」部分を増やすことは、この逆進性をさらに高めることになります。また、48万円から52万円までの3段階の最高限度額の設定は、中・低所得層の負担軽減に一定の効果がありました。48万円の限度額を廃止することは、この層の負担を増やすことであり、賛成できません。市は最高限度額を一本化するように、国の指導があることを理由にしていますが、こんな圧力は全く地方分権に反するもので、断固抗議し、3段階の最高限度額は維持すべきです。

 「赤枠」は法を逸脱 

− 短期保険証が大きな問題になっていますね。  

 石川 本当にひどい人権侵害です。全加入世帯の4%以上の短期保険証の発行は、他市でも例のないことでしょう。浪速区などは、8.1%もの短期証です。被保険者証の交付は市町村の義務であり、様式も全国的に統一されています。(施行規則第六条)。この短期保険証の発行が被保険者の医療を受ける権利を奪っていることは明らかです。保険証を交付することは、市民の側がどうであれ、市の責任です。全被保険者に保険証をわたし、医療を受ける権利を保証してこそ、国保料金納付の理解も得られるのではないでしょうか。また、批判の強い、保険証に「赤枠」をつけるやり方は法の趣旨からも逸脱しています。すぐに止めるべきだと強く抗議し、是正を求め、答申に付す意見として「短期保険証の取り扱いについては、受診抑制とならないように十分配慮する」ことを付け加えることになりました。しかし、発行そのものが受診抑制となっていることは明らかであり、短期証も、来年度から導入が狙われている資格証明書も許さないたたかいが必要です。  

 ほど遠い慎重審査 

 国保運営協議会の運営について

石川 厚生省監修の「国保担当者ハンドブック」によると、運営協議会は「国保事業を真に被保険者のための制度として円滑、かつ、民主的に運営するという見地から、この運営協議会は重要な役割を担うもの」とされています。そのために、被保険者、医療関係者、公益代表がそれぞれ選ばれ、市民を代表して、国保に関する重要事項を審議することになっているのです。
 そのためには、市長の諮問事項について、各委員が被保険者の立場で十分時間をとって、必要な資料を取り寄せ、担当部局からも必要なことを聞き取り、慎重に審査することが必要ではないか。ところが、大阪市では、今回も、諮問が当日にされ、審議するための資料も出されず、本日のわずかな時間で審議するというひどいやり方です。こんなことでは、委員として十分な責任は果たせないことは当然です。このことは、他の委員からも同趣旨の意見がありました。この点についての改善も強く求めました。

 安心めざして 

− 今後の課題はどうでしょうか。

石川 こんな重大な案件が当日に諮問され、わずか2時間足らずで審議され、多くの市民が全く知らない間に市長の諮問どおりの答申がされました。こんな改悪に異議を唱え、人権侵害の短期保険証の中止を取り上げたのは日本共産党の私だけです。市長与党の自民も公明も民主民友クラブは、値上げも短期保険証の大量発行にも賛成・容認の態度を表明しました。今後の舞台は、32日からの市議会に移されます。
 日本共産党議員団は市民のみなさんと一緒に、高すぎる国保料金の値下げ、抑制や短期保険証や資格証明書の発行を許さず、みんなが安心して必要な医療の受けられる大阪市国民健康保険をめざしてがんばりたいと思います。

国保中央会「平成11年度国民健康保険の実態」より

 

札幌

名古屋

京都

大阪

神戸

北九州

被保険者一人療養諸費(A)

504,085

372,278

408,900

381,147

393,919

493,135

保険料調停額(一人)B

72,752

72,855

66,674

69,939

68,638

63,935

b/a

14.4%

19.6%

16.3%

18.3%

17.4%

13.0%

収納率

83.39

93.91

92.44

90.03

90.47

94.51

国庫支出金

93,856

61,186

77,169

89,135

72,477

96,323

うち療養給付費等負担金

71,424

55,893

58,075

68,948

54,287

65,194

うち普通調整交付金

20,648

4,123

16,389

20,063

13,934

27,836

うち特別調整交付金

1,714

1,120

2,554

1

4,110

3,129

都道府県支出金

868

1,043

316

1,456

686

6

一般会計繰入金(保健基盤安定)

9,232

5,084

7,984

6,090

8,894

8,639

一般会計繰入金(基準超過等)

21,767

7,557

12,511

12,948

12,472

18,167

一般会計繰入金(その他)

26,420

21,994

3,341

21,189

7,862

12,552

一般会計繰入金合計

57,419

34,635

23,836

40,227

29,228

39,358

全て被保険者一人当たり(単位円)