30人学級の早期実現を
小笠原議員が陳情書の採択を求める
(しんぶん赤旗2000年7月1日)
6月30日の市会文経委員会で小笠原正一市議は、大阪市立高校教職員組合から提出された「文部省の第7次(高校6次)教職員定数改善計画に対して、30人学級を基準とする定数改善をその計画に盛り込むことを大阪市議会で政府、文部省に要望する決議をあげることなどを求める陳情書」の採択を主張しました。
小笠原市議は、最近の少年の残虐な犯罪は社会の病理が深く進行している事の現れであり、わが党の子どもと教育をめぐる危機打開の三つの提案を紹介。学校教育では、いま校内暴力、不登校、高校中退と、どれも戦後最悪の数字であり、少年事件の背景にはこうした状況があると指摘。大阪市のおけるここ数年間の不登校の推移を質しました。
教育委員会当局は、平成7年度と11年度をくらべて小学校で1・9倍、中学校で1・8倍にふえ、高学年ほど多くなっていると答弁、陳情にある文部省の「学校教育に関する意識調査」で、高学年になるほど勉強が分からないという子どもが増えていることと同じ傾向にあることが明らかになりました。同市議は、不登校の主要な原因は、いまの学校教育が一人ひとりにゆきとどいた教育をしていないことにあると指摘しました。
「できた」、「わかった」という積み重ねと「出来ない」、「分からない」という積み重ねの落差は大人が考える以上の大きなものがある。学校嫌いがはじまり、大人不信がいやがおうでも広がっている。そういう子どもに「がんばれ」「強く生きろ」というメッセージを送るだけでよいのだろうか。ざ折した子どもには、つらさだけしかつのらないのではないか。そのうえに、切り捨てられる。こうして子どもの声がますます聞こえなくなっている。こういう状況にこたえるためにも、一人ひとりをていねいに指導できる三〇人学級は切実な課題だと主張しました。
市教育委員会当局は、文部省の「調査研究協力者会議」が、都道府県の裁量で四〇人未満に引き下げることも可能である提言をしていることにふれましたが、学級規模と学習効果の相関については定説がないことや国、地方の財政負担のうえからも検討中であり、国や大阪府の動向を注目していくという答弁にとどまりました。同市議は、この提言が生活集団と学習集団の分離をしていることは十分な検討が必要であり、「小人数学級で学習効果があがるかどうかわからない」としながら、「学習集団を小人数化して指導する」というのは矛盾することを指摘しました。
そのうえに立ってこの1年半で「国の責任で30人学級を」求める自治体の意見書が3・9倍1520と全自治体の半数をこえて広がっていることを紹介、今年の衆院文教委員会でも、公立小中学校で30人学級は、12万の教員、9,800億円あればできると文部省が試算していることや年次計画でやれば、いまの財政状況でも不可能ではないこと、また、河村文部総括政務次官が 「子どもが減るなかで、教員を減らさずにいけば展望が開ける」と述べていることなども指摘し、陳情の採択を主張しました。
自民、公明など与党は、多数決で継続審査扱いにしました。
<表1>大阪市の小中学校における不登校児童生徒推移
小学校(年間30日以上の欠席)
1年(人) |
2年(人) |
3年(人) |
4年(人) |
5年(人) |
6年(人) |
合計(人) |
|
1999年 |
17 |
22 |
36 |
60 |
87 |
91 |
313(0.25%) |
1998年 |
16 |
24 |
40 |
67 |
71 |
124 |
342(0.27%) |
1997年 |
14 |
20 |
42 |
40 |
83 |
103 |
302(0.23%) |
1996年 |
10 |
21 |
18 |
35 |
53 |
69 |
206(0.15%) |
1995年 |
4 |
12 |
20 |
37 |
31 |
61 |
165(0.12%) |
1994年 |
9 |
11 |
24 |
29 |
38 |
58 |
169(0.12%) |
1993年 |
16 |
18 |
29 |
47 |
45 |
63 |
213(0.31%) |
1992年 |
9 |
9 |
19 |
27 |
19 |
43 |
136(0.19%) |
1991年 |
10 |
9 |
12 |
24 |
27 |
47 |
129(0.18%) |
中学校(年間30日以上の欠席)
1年(人) |
2年(人) |
3年(人) |
合計(人) |
|
1999年 |
527 |
933 |
1122 |
2582(4.16%) |
1998年 |
441 |
802 |
1016 |
2259(3.55%) |
1997年 |
482 |
803 |
996 |
2281(3.49%) |
1996年 |
370 |
605 |
816 |
1791(2.71%) |
1995年 |
317 |
506 |
669 |
1492(2.13%) |
1994年 |
285 |
444 |
699 |
1428(2.09%) |
1993年 |
295 |
576 |
773 |
1644(2.31%) |
1992年 |
305 |
542 |
792 |
1639(2.18%) |
1991年 |
298 |
513 |
716 |
1527(1.94%) |
議会 |
日時 |
付託委員会 |
請願・陳情名 |
質問者 |
各会派の態度 |
|||||
共産 |
自民 |
公明 |
民民 |
無所属 |
||||||
2000年5.6月市会 |
||||||||||
2000.6.30 |
文経 |
文部省の第七次(高校六次)教職員定数改善計画に対して、30人学級を基準とする定数改善をその計画に盛り込むことを大阪市議会で政府、文部省に要望する決議を上げることなどを求める陳情書 |
○ |
△ |
△ |
△ |
△ |
○…採 択 △…継 続 ×…不採択 ▲…一時不再議 ■…審査不要
共産…日本共産党 自民…自由民主党 公明…公明党 民民…民主・民友大阪市会議員団 無所属